成年後見制度とは

成年後見制度とは、加齢や病気、認知症等によって判断能力が不十分な方が、訪問販売などにより高額なものを購入することや重大な契約行為をしてしまわないように、その本人に代わって売買契約や締結してしまった契約を取り消すなどの法律上の行為を代わりに行う支援者をつけることによって、その財産を守ったり、生活面で不利益を受けないよう保護する制度です。

後見には裁判所でご家族が手続きをする「法定後見」と、将来に備えてご自身で手続きする「任意後見」とがあります。

法定後見とは、判断能力が既に失われたかまたは通常の人と比べ、不十分な状態になり,自分で後見人等を選ぶことが困難になった場合に利用されるものです。
任意後見とは、まだ判断能力が正常である人、または判断能力が衰えたとしてもその程度が軽く、自分で後見人を選ぶ能力を持っている人が利用する制度です。
いずれも家庭裁判所に申し立てを行い、審査を経て選任の可否が通知されます。

人間は年を取ると、次第に物事を判断する能力が衰えてくるのが自然の摂理です。つい自分だけは認知症等の心配はないと思いがちですが、我が国の認知症高齢者は、160万人もいると言われており、85歳以上の高齢者になると、4人に1人に認知症が発症すると言われています。

たとえばこんな場合に後見人が必要なります。

遺産分割協議を行うにあたって、認知症により判断力が低下している方がいる場合

遺産分割協議が成立するためには、相続人全員の合意が必要になりますが、判断能力の低下している状態では有効に遺産分割協議が成立せず、せっかくした遺産分割協議も無効となってしまいます。

・土地や建物を売却する際に、売主または買主となる方が、認知症などで判断力が低下している場合

売買契約を行うためには売主、買主の意思の合意が必要になりますが、判断能力が低下した状態では有効に売買契約を行うことできず、後から認知症であったことを理由に売買契約自体取り消されることもあります。それは贈与の場合も同様です。

・グループホームへの入居等の際に、施設や病院から、後見人等の選任を求められる場合もあります。親族が高齢であったり、又は遠方であったりして被後見人の生活に関与できない場合、本人の財産管理や様々な契約を行うために、後見人等の選任が必要になります。

なお、後見制度は、本人の財産や権利を守るための制度であるため、いったん後見人等が選任されると、本人の状態が回復し、後見人等が不要になったという事情が認められない限り、本人の財産管理などを、後見人等が引き続き行わなければなりません。
不動産の売却や遺産分割協議のためだけに、一時的に利用するということはできません。


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